艱難 (不動産鑑定士 河野)
現在、私の事務所(よつば鑑定)では、省エネ業務中です。
東京事務所は停電はないのですが、だからといって、東京だけが温々としているというのでは申し訳ないので、事務員の同意を得て、暖房はつけないことにしました。
埼玉事務所は計画停電があるので、その間は暖房のみならず、パソコンもつきません。
停電中はパソコンも使えないので、手作業でできる仕事を、日中の光だけが差し込む薄暗い中でやっています。
つらいのは、埼玉事務所は北向きとなっているため、とても寒いということです。
ある事務員は手袋をしながらがんばっています。
ある事務員はマフラーをしながらがんばっています。
みんな寒がりなのに、文句の一つも言いません。
それは、もっともっと寒い中でがんばっている人たちがいることを知っているからだと思います。
別に、よつば鑑定という小さな事務所が暖房をつけようが、つけまいが、総量には影響しないでしょう。
本当は「そこまでしなくてもいいのでは?」と思っているかもしれません。
それでも、やっぱり誰も暖房をつけようとは言いません。
私はそんな事務員たちを誇りに思う。
「艱難汝を玉にす」という。
本当の艱難はもっともっとつらいことをいうのだろう。
だとしたら、少なくとも建物内にいるときの寒さを乗り越えられないようならば、
どんなにがんばったって、玉になんかなれっこない。
うちの事務員達は知ってか知らずか、みんな黙々と耐えている。
その先に何があるかなどとは考えていないかもしれない。
でも、いつかきっと、みんな光り輝く玉になるだろう。
不動産鑑定士 河野 栄一