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東電・補償について法的に考える・・・(弁護士馬渕)

こんにちは。弁護士・税理士の馬渕です。

やっと東電から仮払金が支払われることになりましたが、

さてさて、どうやって支払うのでしょうか。
避難している方は全国各地に散らばっているので、
その手続が気になるところです。
また、どの地域まで支払うのか、
その線引きも非常に難しい問題です。

さて、東電の今後進む方向を法律家の観点から考えてみました。

あくまでも推測に過ぎませんが、少しお付き合いをいただきたく。

まず、今後、東電が

「不可抗力の抗弁(=津波が予想を超越していたので、法的責任はない)」
を主張せずに、素直に被害弁償に応じていくことになれば、
その賠償額はとてつもない高額になります。
 
例えば、避難民の生活補償はもちろん、福島原発付近の農業、畜産業、酪農業、
水産業、観光産業も原発被害による直接の影響を受けていますし、
さらにそれらの近接業種も大きなダメージを受けています。
これらの営業補償も必要になってくるでしょうし、その範囲は極めて広汎です。
それどころか、日本各地で、被爆を恐れた外国人が日本を去るという現象が起こっており、
現に外国人を雇用する事業は継続が困難となっていたり、
さらに、そもそも日本への旅行客が減り、日本中の観光産業に影響を与え、
さらには、外国人がメイドインジャパンのものを買わなくなり、
輸出産業にも大きなダメージを与えています。
 
このように、福島のみならず、日本の至るところで原発事故による影響、損害が発生しており、
その金額は計り知れないように思うのです。

これらについて、すべて東電に法的責任(強制的)があるということになれば、

「日本の経済的損失-津波被害分」が東電の賠償範囲と言っても過言ではありません。

ということになると、それらを全て東電が賠償するのは到底不可能なので、

東電としては、
「仮払金はお見舞い金であって、損害賠償金ではない、東電は精一杯の補償をするが、それは法的支払義務はない」
との説明を余儀なくされるように思います。
そうすることにより、東電が主導的に補償範囲、補償額を画定することができるようになるからです。
 
もちろん、それにより東電は痛烈に批判されるでしょうが、
無尽蔵に支払うことはできないので、上記説明は組織としてやむを得ないようにも思います。

そうすると、次ぎに想定されるのが、

原発事故により損害を受けた多くの国民が東電の対応に不満を抱き、
全国各地で東電を被告とする訴訟が頻発するという事態です。
 
東電はその応訴費用だけで莫大な出費となり
(大手法律事務所に依頼し、弁護士費用も相当高額となるはず)、
万一、東電が敗訴するようなことがあれば、
東電は「日本の経済的損失-津波被害分」を負担しなければならなくなるので、
敗訴した東電の倒産は時間の問題となるように思います。

東電が倒産すれば、東電から電気の供給を受けている地域はメガトン級のダメージを被ります。

そこで、その防衛策として考えられるのが、
最近、ちょくちょくニュースでも取り上げられている分離スキーム、
「東電を清算し、何ら賠償責任を負担しない新会社を新たに作る」というものです。
東電が電気事業を相当な値段で新会社に売却し、
その売却代金の限度として金銭的補償を行い、最後に清算するという方法です。
このスキームによると、株主は出資がパーとなってしまいます。

そうすると、次ぎに想定されるのが、東電株主が経営者を相手にした株主代表訴訟です。

そこで、原発事故及びその後の処理スキームが正しかったのかが改めて検証されることになるでしょう。

国も東電も、具体的な支払い額や支払い名目を明らかにしていない理由として、

一つは福島原発問題が全く収束していないということもありますが、
もう一つは、どのようなスキームで事を収束させるべきか、必死に考えているからではないでしょうか。
あくまで推測ですが。。
 
 
 
もう一つ、最近の報道で違和感を感じることがあります。
これは法律家であれば、誰もが感じていることではないでしょうか。
 
最近、マスコミは、口を揃えて、原発事故被災者に対する国の補償が遅いと批判しています。
 
しかし、一次的に被災者の救済を図るのは地方公共団体である市町村や県の責務ではないでしょうか。
国よりも地方公共団体の方が状況の把握、補償範囲、方法を速やかに決めることができるからです。
 
まさに、そのために、日本国憲法は「地方自治制度」を認めているのです。
 
そこで、まずは地方公共団体が事態を検証し、金策を図り、
補償が必要な被災者に対して速やかに補償すべきだと思います。
そして、その後の段階として、地方公共団体が国と交渉し、
補償の負担割合、負担範囲を決めていくべきでしょう。
 
「国」という私達からかけ離れた存在がある訳ではなく、
あくまでも「国=全国民」なので、
「国が補償する=全国民で負担する」ということになるから、
国による補償は拙速に進めるべきではなく、
どの範囲まで全国民で負担するのが適当かを慎重に議論すべきだと考えます。
 
常識的な感覚としても、
東電の失態を、何の議論もせずに私達国民が負担するということに違和感を感じませんか?
 
1日も早く被害の実態が明らかになり、公平かつ必要な補償がなされることを心より祈っています。

LLPプログレス
弁護士・税理士 馬渕泰至

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